シンガポールと日本とでは、お子様が受ける予防接種の種類、スケジュールなどに多少の違いがあります。ここでは、シンガポールで予防接種を受けるお子様をお持ちの親御様の参考にして頂くため、日本とシンガポールの主な違いについて説明します。予防接種一覧表と合わせてご覧ください。
ポリオ、三種混合(百日咳、ジフテリア、破傷風)
日本ではポリオが3~18ヶ月の間に2回、三種混合は第一期初回(3~48ヶ月の間に3回)、第一期追加(第一期初回の後12~18ヶ月の間に1回)、第二期追加(11~12歳に1回。
日本はDTで2種混合、シンガポールではDPTで3種混合)となります。また日本でのポリオワクチンは生ワクチン(経口接種)が主流です。シンガポールでは、五種混合
(百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオ、Hib)や六種混合(五種混合+B型肝炎)等の混合ワクチンが主流ですがポリオのみの不活化ワクチンもあります。
※当院では、ポリオはご希望により生ワクチンか不活化ワクチンが選択できるようご準備しております。その他DPT三種混合ワクチン、五種混合ワクチンも行っております。
麻疹、風疹、流行性耳下腺炎
日本では麻疹と風疹の混合ワクチンであるMRワクチン(月齢12~18ヶ月に1回目、5~6歳で追加接種)と流行性耳下腺炎ワクチンの接種が行われていますが、
シンガポールではMMRワクチン(麻疹、風疹、流行性耳下腺炎の混合ワクチン)が主流です。シンガポールでは、月齢12ヶ月で1回目、
月齢15~18ヶ月にもう1回追加接種が行われます。
※当院では麻疹、風疹、流行性耳下腺炎の個別ワクチン及びMMRも行っています。
BCG(結核)
結核はアジアに多い病気です。比較的衛生的なシンガポールでも結核患者数は日本より多く、また、シンガポール周辺諸国ではさらに多いいため、用心が必要です。日本では3〜6ヶ月くらいに接種が行なわれますが、当地では0か月から(普通、出産後入院している間に)行なわれます。ツベルクリン反応は現在シンガポール、日本共に行われていません。
※シンガポールでの接種は注射式が主流です。当院では日本製のスタンプ式(経皮式)で行なっています。
日本脳炎
シンガポールでは日本脳炎の予防接種はほとんど行われていませんが、シンガポール以外の東南アジア・北東アジア・南アジアなどには日本脳炎の感染地域があるため、そうした地域に旅行や移住をされる場合は予防接種を検討しましょう。接種は生後6ヵ月以上(3歳以上が適当)が対象で、初期2回(1〜4週間隔)、追加1回の合計3回接種です。(日本では現在休止中です。)
インフルエンザ
シンガポールでは一年を通してインフルエンザの感染がみられますが、冬季の日本のように大きな流行はこれまでみられませんでした。冬季の日本や中国など、インフルエンザの流行する地域・時期に旅行される場合は、接種をしておいた方がよいでしょう。接種可能年齢は1歳以上で、9歳以下 の場合は1ヶ月の間隔をおいて2回の接種となります。
※インフルエンザについての情報はこちらをご覧ください。
A型肝炎
魚貝類などを介して経口感染する、東南アジア、南アジアなどに多い病気です。この地域に在住される方、非衛生的な地域を旅行される方には予防接種が勧められます。予防接種は1歳以上が対象で、接種は中6ヶ月をおいて2回です。日本国内ではA型肝炎ワクチンは合計3回接種です。3回接種の途中でシンガポールに来られた場合は、日本のスケジュールに従って残りの接種をするとよいでしょう。(ご相談ください。)
※A型・B型の混合ワクチンもあります。1歳以上が対象で、1歳〜15歳は6ヶ月〜12ヶ月間隔で2回接種、16歳以上は1回目、2回目(1回目の1ヵ月後)、3回目(2回目の5ヵ月後)の3回接種です。A型肝炎に関しての情報はこちらもご覧ください。
B型肝炎
血液・体液を介して感染する病気で、母子感染や、成人の場合は性行為感染症として重要です。キャリアーはアジア地域に比較的多いと言われています。シンガポールでは、BCGと同様、新生児から行なわれる予防接種です。接種は、初回、1ヵ月後、6ヶ月後の合計3回です。
Hib
Hib(ヒブ)とはインフルエンザ菌b型の略称ですが、冬に流行するインフルエンザとは関係ありません。Hibに感染し重篤化すると、髄膜炎を起こすことがあります。髄膜炎を引き起こす細菌はいくつがありますが、この細菌による場合が多いといわれます。そのため、抗体がまだできていない乳幼児期に予防接種を受けることが、危険を回避する上で大切となってきます。1998年にWHO(世界保健機構)がHibワクチンの乳児への定期接種を推奨する声明を出したことから、現在100カ国以上の国で定期接種されています。(日本では2008年12月より任意接種できるようになりました。)
Hibワクチンは不活化ワクチンで、乳幼児期(生後6週〜5歳)を対象に接種が可能です。生後6週〜6カ月未満に接種を開始する場合は1か月間隔で3回接種の後、15〜18カ月の間に1回追加接種します。生後6か月以上〜1歳未満に接種を開始する場合は1か月間隔で2回接種の後、1年後に1回追加接種します。また、1歳以上〜5歳までに接種する場合は1回接種のみです。
※シンガポールではポリオ、三種混合との混合ワクチン(五種混合ワクチン)がよく用いられています。当院ではHib単独ワクチン接種を行っています。
肺炎球菌
肺炎球菌性疾患は、肺炎球菌により生じる一連の病気のことをいいます。通常、子供に発症する深刻な感染症で、特に2歳以下の幼児に多くみられます。肺炎球菌は、中耳炎(中耳の感染)、髄膜炎(脳の被膜の感染症)や肺炎(肺の感染症)、敗血症(血液の感染症)を引き起こすことがあります。感染経路は飛沫感染です。健康な大人や子供の鼻と喉に入り込み、くしゃみや咳によって空中に飛散されます。そして子供から子供へと広がっていき、いつの間にか多くの子供が保菌者となっています。
肺炎球菌性疾患は、ワクチン接種により予防することができます。
ロタウイルス
乳幼児における急性下痢症の原因の一つで、生後6ヶ月から2歳までの乳幼児に多くみられます。主な症状は嘔吐と白っぽい下痢便で、
発熱を伴う場合も多く、ときに重症化します。日本では2011年11月から任意接種を開始しました。このワクチンは生ワクチン(経口接種)
で生後6週~24週の間に2回接種(1回目接種から4週以上あけて2回目接種)が必要です。
HPV(子宮頸がんワクチン)
子宮頸がんの発生の多くは、ヒトパピローマウイルス(Human papilloma virus: HPV)感染が関わっているとされています。
HPVには100種類以上のタイプが存在しますが、この中でも15種類が子宮頸がんの原因になるハイリスクタイプに分類されています。
HPVは性交渉で感染すると知られていますが、HPV感染そのものは稀ではなく、感染しても多くの場合は、症状のないうちに排除されていると
考えられています。HPVが排除されないで感染が続くと、一部に子宮頸がんの前がん病変や子宮頸がんが発生すると考えられています。
しかしどの程度の確率で、前がん病変や子宮頸がんが発生するかについてはよくわかっていません。対象年齢は9~26歳で
(国により若干の違いあり)、1回目、2回目(1回目から1ヶ月後)、3回目(1回目から6ヶ月後)の計3回接種が必要です。
保護者の方へ
日本では法律に基づき市町村の責任で公費による定期接種が行われていますが、海外においては任意の接種になります。予防接種を受ける際は、医師から副反応などの説明を受け十分に理解した上で、注意事項を守り、体調の良い時を選んで受けましょう。また、お子様の体調や既往歴、アレルギーなどは事前に正確に医師にお伝えください。接種予定時期は忘れないよう手帳などに記しておきましょう。
(記載された内容は2011年11月25日現在の情報に基づきます。将来は改定されることがあります。)